ビオワインとは何者なのか?

ワイン界隈で台頭している「ビオワイン」。何やら、サスティナビリティー、エコロジーといったキーワードとも関係がありそうですが、その意味するところとは一体何でしょうか。今回は、日本人には少々馴染みにくい文化にも触れながら、その意味するところを探ってみることにします。

ビオワインとは?

ビオワインを英語で表記すると「bio wine」。「bio-」は、ギリシャ語の「bios(ビオス)」を由来とし、人生、生活、生命などを意味します。英語のbiology(生命学)、biography(伝記)もその流れです。「bio wine」は、生命のワイン、あるいは人生のワインといったところでしょうか。ただし、このビオワインは定義が曖昧です。広くはorganic wine(オーガニックワイン)と呼ばれていますので、ひとまずはその一種として認識しておいて良いでしょう。

オーガニックワイン、つまり有機農法によるワインの歴史は古く、第二次世界大戦からの復興が一段落した頃、化学肥料や農薬による汚染が問題化され始めた時分に始まりました。その後80〜90年には、ヨーロパ全土にブームが広がっていきます。90年代後半には、アメリカから広がったLOHAS(ロハス)とも共鳴し、環境に優しいワインは世界各国で作られていくようになります。

ちなみに、日本にはエコワインと呼ばれるものもありますが、これらもオーガニックワイン類の異なった呼び方と言って差し支えありません。「eco」は、ecology(エコロジー、生態学、自然環境)から取られたものです。ギリシャ語で、すみか、家などを表す「oikos」が基になっています。

なぜオーガニックなのか?

ひとつはブドウの生育に関わる問題です。ブドウは、地下深くに張り巡らされた根が水とミネラルを吸収(※)し、その土地特有の味を蓄えます。しかし、化学肥料や農薬が使われた土地では、それらの物質が土中に貯まり硬い層を形成してしまうため、ブドウの発育を阻害します。また、化学物質は生態系を破壊し、ブドウの生育に有益な微生物までも死に至らしめてしまうのです。

もうひとつは、残留農薬の問題です。ワインの醸造では、必要な酵母や糖を失わないようブドウは洗わずに加工されます。そのため、防虫剤や防カビ剤といった発がん性のある農薬がそのままワインに残り、ひいては人体に取り込まれるのです。農薬ではありませんが、酸化防止剤として使わる亜硫酸塩(二酸化硫黄)もアレルギーを引き起こすとして懸念されています。

※現在は、地中からミネラルを吸い上げるのではなく、地表の腐葉土などから得ているとの説もあります。

ビオワインの特徴

オーガニックワインに使われるブドウは有機栽培で作られます。そのポイントには、植物に直接栄養を与える化学肥料を使わないこと、化学合成農薬、つまり除草剤や殺虫剤といった危険な化学物質を使わないこと、遺伝子操作や放射線処理といった人口操作を行わないことなどが挙げられます。これらはBiologic(ビオロジック、有機農法)と呼ばれ、EU(欧州連合)の中では厳密に定義されています。

一方、生力学農法と訳されるbiodynamie(ビオディナミ)で作られるブドウもあります。これは19世紀のドイツの神秘主義思想家Rudolf Steiner(ルドルフ・シュタイナー)の提唱した方法で、天体の動きに合わせて自然的な農作業を進めていくという方法です。現在は、あのロマネ・コンティの畑でもこの農法が取られています。

前者のような方法を使い、醸造過程でも添加物を極力使わないワインこそビオワインとする向きがあります。人によっては、さらに手摘み収穫、自然酵母(野生酵母)のみの醸造を要求する方もいます。そうしたワインを、フランスではvin nature(ヴァン・ナチュール、自然派ワイン)と呼ぶこともあります。

ちなみに日本でよく見られる無添加ワインですが、酸化防止剤の亜硫酸塩を使っていないだけで、農薬や化学肥料に関しての規定はありません。また、加熱処理やマイクロフィルターによる酵母の処理も行われています。

良質なビオワインの見分け方

ヨーロッパやアメリカでオーガニックワインやビオワインとして売るには、認定団体からの認可が必要です。許可を受けると、ひと目でそれと分かるラベルをボトルに付けることができます。

主なものとしては、フランス農務省認証のECOCERT(エコセール)、フランスのオーガニック認証団体のNature & Progres(ナチュール・エ・プログレ)、ドイツの民間オーガニック認証団体のdemeter(デメター)などがあります。購入時の目安としてご活用ください。

ただし、費用や手間暇などの関係から、全てのオーガニックワイン生産者がこれらの認証を受けているわけではありません。また、日本では独自に「オーガニック、有機」という言葉の表示のみ、JAS(日本農林規格)で規定されています。輸入品にも適用されますが、「ビオ」や「ヴァン・ナチュール」といった表現は該当しないことにご留意ください。

ビオワインのおすすめのボトル

プラテオ

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専門誌でも高い評価を受ける、イタリア・オーガニックワインのリーダー「アグリベルデ」。同社の最高ワインに位置づけられるこの「プラテオ」は、豊かで繊細な香りとエレガントで芳醇な味わいが特徴です。自然を、ひいては宇宙をも感じさせてくれるこの出会いに、きっとあなたも満足することでしょう。ICEA(イチェア)、USDA(米農務省)よりオーガニック認証を受ています。